日本の投票の仕組み|やさしく全体像を解説
首相をアメリカのように国民投票で選べないと知り、「では日本は誰がどう決め、私たちはどう関わるの?」と疑問に。そこで本記事では、国政・地方選挙の仕組み/投票の手順/首相が選ばれるまでをわかりやすく説明します。
まず結論:首相は国会が選ぶ。だから私たちは国会議員を選ぶ
日本では国会(衆議院・参議院)が首相を指名します。したがって有権者は直接首相に投票するのではなく、国会議員(と地方では首長・議員)に投票します。
そして私たちは、衆議院・参議院・地方選で票を投じ、その議席配分の結果として首相指名や法律成立の力関係が決まります。
投票年齢は18歳以上。原則として日本国籍を持ち、住民票のある自治体の選挙人名簿に登録されている必要があります。
国政選挙の種類と仕組み
衆議院(しゅうぎいん)
- 任期:4年(ただし解散あり。だから実際は短くなることが多い)。
- 選び方:小選挙区制と比例代表制の並立制。つまり有権者は2つの投票を行います。
- 小選挙区:地元の候補者名に1票(1選挙区1人当選)。
- 比例代表:政党名に1票(ブロックごとに票割合で議席配分)。
- ポイント:衆議院は内閣に対する信任・不信任の力が強く、また予算や条約などで先議・優越があります。
参議院(さんぎいん)
- 任期:6年(半数改選。3年ごとに半数が選ばれる)。
- 選び方:選挙区(都道府県単位など)と比例代表。衆院と同様に候補者名/政党名で投票します。
- ポイント:参議院は「熟議の府」として、法案を時間をかけて審議し、衆議院と異なる視点でチェックします。
政党名と与党・野党の違いを文章で整理
まず前提として、自民党は固有名詞の政党名です。一方の野党は特定の政党名ではなく、いま内閣を支えていない側を指す立場の総称です。政党には「自民党」「立憲民主党」「公明党」「日本維新の会」など固有の名前があり、これらが国会でどれだけ議席を持つかによって、与党か野党かという立場が決まります。
与党と野党の区別は選挙のたびに変わり得ます。衆議院と参議院の議席数の結果、内閣を組む/支える政党(連立を含む)=与党、それ以外が野党となります。衆議院で多数を確保した与党は総理大臣の指名で優位に立ちやすく、また予算・条約・不信任など衆議院に認められた優越の場面でも政策を前に進めやすくなります。他方、参議院は解散がなく任期6年で半数改選のため、中期的に勢力が固定化しやすく、法案の審議・修正・ブレーキ役として重要です。
私たち有権者の投票はこの力関係を直接形づくります。衆議院選挙では小選挙区で候補者名、比例代表で政党名を記入し、参議院でも選挙区と比例代表で投票します。積み上がった票が各政党の議席となり、その配分が与党・野党の構図につながり、最終的に総理指名や法案可決のしやすさといった国政の動きに直結します。
たとえるなら、政党はサッカークラブのチーム名のようなもので、与党・野党はそのシーズンの立場の違いに近い関係です。試合結果にあたる選挙の結果次第で、どのチームが主導権を握るかが入れ替わるのと同じように、選挙の度に与党と野党の関係も入れ替わる可能性があります。
地方選挙(都道府県・市区町村)
- 首長選挙:知事・市区町村長を直接選ぶ選挙。ここは米国の大統領選のように本人に直接投票します。
- 議会選挙:都道府県議会・市区町村議会の議員を選び、予算や条例を審議する代表を送り出します。
- 生活への影響:保育・教育・福祉・道路・防災など、実感しやすい政策が多く、暮らし直結の意思決定です。
首相が決まるまでの流れ
- まず国政選挙(主に衆議院)の結果に基づいて、各党の議席数が決まる。
- そして国会が召集され、総理大臣指名選挙が実施される(衆・参で投票。異なる場合は衆議院の議決が優先)。
- 結果として指名された人物が天皇の任命(認証)を経て内閣総理大臣に就任し、閣僚を任命する。
したがって「首相に直接投票」ではなく、「首相を選ぶ国会議員を選ぶ」間接制です。
投票の行き方・書き方・よくあるつまずき
当日投票の基本
- 投票所入場券(ハガキ)が届いたら、身分証は基本不要ですが、万一に備え持参するとスムーズ。
- まず受付→名簿確認→投票用紙を受け取り→記載台で鉛筆で記入→投票箱へ。
- 候補者名はフルネームまたは姓で正確に。比例は政党名を書きます。
期日前投票・不在者投票
- 仕事・学業・育児・旅行・体調などで当日に行けない場合、期日前投票が可能(告示の翌日〜前日)。
- 遠方在住や入院・施設入所などの場合は、不在者投票や郵便投票などの制度が用意されています。
無効票を避けるコツ
- 愛称・あだ名・誤字は無効になり得ます。掲示板や公報の表記で確認。
- 空欄や落書き・二重線・判読不能も無効。迷ったら係員に聞いてOK(投票の秘密は守られます)。
初めてでも迷わないチェックリスト
国民投票・住民投票はあるの?
- 国民投票:憲法改正の是非を国民が最終判断する制度です(通常の政策や首相選びに使う仕組みではありません)。
- 住民投票:自治体で実施されることがあります。ただし法的拘束力は限定的で、最終決定権は議会・首長にある場合が多いです。
よくある質問
投票所入場券がなくても投票できますか?
できます。本人確認のうえ名簿に登録があれば投票可能です。自治体選管に確認を。
誰に投票したか知られませんか?
投票の秘密は法律で保障されています。投票用紙は記名以外の情報が残らない仕組みです。
仕事で忙しいので行けません
期日前投票や不在者投票を検討してください。土日・夜間も開設する会場が増えています。
首相に直接投票できないのはなぜ?
日本は議院内閣制で、国会の多数派が内閣を構成するためです。各国で仕組みが異なります。
自民党と野党は「政党」名の違いですか?
自民党は政党名、野党は与党ではない側の総称です。与党か野党かは衆参の議席数の結果で決まり、選挙によって入れ替わることがあります。
まとめ
要するに、日本では国会が首相を指名し、私たちは国会議員や首長・地方議員を選びます。
そして、その積み重ねが法律・予算・外交の方向性を形づくります。だからこそ「何となく」ではなく、
自分で調べこの人なら託せると思う人に投票しましょう。
また、忙しい人ほど期日前投票を味方に。初めての一票でも大丈夫。手順はシンプルで、書くのは「候補者名」か「政党名」のみです。
今日の5分の準備が、明日の4年・6年を左右します。さて、あなたは何を一番に託しますか?

